<特集>企業のマーケティング戦略 「男の牙城」は女のものよ
オトコの領域に女性が進出――。今に始まった話でもない。だが、時代に敏感なプランナーらの手で後押しされると、一部の動きが消費行動や生活スタイルを変える「ブーム」に育つ。ゴルフ、一眼(レフ)カメラ、ランニング、日曜大工、さらに「立ち飲み」にまで――。不況下でも、世代を問わず、女性は「楽しさ」に貪欲(どんよく)だ。そこには「男の牙城」を「性別問わず」に広げたい、企業のマーケティング戦略も絡む。【高田茂弘】
◇おしゃれして芝でGOLコン--ゴルフ
練習場やコースに出る女性ゴルファーが増えている。男女のグループでコースに出る「GOLコン(ゴルフ合コン)」も人気。各地のゴルフ場がPRする女性割引の「レディースデー」には、ゴルコンのグループ多数が到来する。「男の社交場」が「男女にかかわらず」になってきた。
日経新聞調査では、ゴルフを「やってみたい」20代女性は54%で、他世代や男性の回答に比べても突出。ゴルファーはこの10年で1500万人から900万人に減ったというが、女性進出は年々勢いを増している。ゴルフ人口に占める女性比率は推計17%。欧米は30%に近く、需要が広がる余地はまだありそう。
ファッション需要も盛り上がっている。宮里藍選手や上田桃子選手らの活躍に伴い、女性誌がゴルフウエア特集を組み、最近では女性向けゴルフファッション誌「Regina」(ALBA発行)が登場。機能性の一方、フェアウエーやグリーンで映えるデザインが主流だ。「スコアよりウエア」「冬でも(コースで)ミニスカ」を信条にしている女性ゴルファーがいるとかいないとか。
◇余暇の使い方「茶道」に並ぶ--日曜大工
団塊世代の参入で脚光を浴びる「日曜大工」。ホームセンターは木材や工具の品ぞろえを一段と充実させ、売り上げもこの不況下で堅調。ここに30~50代の女性が加わり始めたようだ。自分好みの「家具の手作り」である。
社団法人・輿論(よろん)科学協会の調査では、「好きな余暇の過ごし方」で「日曜大工」を挙げた女性は全体の2%。まだ多数派ではないものの、項目では「外国語習得」「茶道」「ダンス」に並び、「陶芸・工芸」を上回った。
材料とデザインを選び、自分に合う机やイス、棚を作る。女性では特にガーデニング用の花台、調味料を載せるキッチンシェルフ、お茶用のテーブルなどが好まれている。
工具も小型化。ホームセンターでは、女性を意識した材料や工具の展示、板や角柱を店頭で切断するサービスも。初歩から学べる工作教室も増えてきた。
◇ウエアと靴はデザイン重視--ランニング
女性ランナーも急増――。22日に3回目を迎える「東京マラソン」を弾みの一つとして、各地のマラソン大会に参加する女性の層が広がっている。
ミズノは東京・お茶の水や大阪・淀屋橋の直営店などで、デザイン重視の女性向けランニングウエアやシューズを発売した。カラフルなジャケットやランニングスカートなどに引き合いが目立つという。
長距離走専門のトレーニングジムにも女性の姿が増えた。健康や美容ブームが追い風になり、東京、大阪では皇居一周(約5キロ)や大阪城公園内を走る女性グループが多く、ミズノは1日、その皇居一周を走る女性限定のランニング教室を開き、50人が「力みのない、ラクな走り方」を学んだ。
◇気分転換してサッと帰れる--立ち飲み
立ち飲み屋は中年男性らがアフター5に足を向ける店。そのややもすれば「暑苦しい空間」に、女性の姿が目立ち始めた。気軽で安価な一方、こじゃれた店構えが増える立ち飲み屋が、女性の気分転換に一役買っている。
立ち飲み屋に女性が通う理由の一つは「サッと帰れる」こと。上司に誘われても「立ち飲みなら」と応える女性が多く、サッと飲み、「電車の時間があるので」と、サッと店を出られるのがいいのだそうだ。
◇自分の世界を切り取る道具--デジタル一眼カメラ
カメラはフィルムを使う従来型からデジタルへ。並行して、マイカメラで「自分の作品」を求める女性が急増中だ。世界最先端の日本のカメラメーカーも、高機能と操作性を兼備したデジタルカメラの商品化を競っている。
多数の女性プロの活躍、プリクラ(写真シール)の流行、撮影機能の搭載が普通になった携帯電話などがブームの素地。「男の趣味」とくくられがちなカメラが最近、女性にも身近になり、旅行やイベント、日常生活のひとこまでスナップを狙うことが一段と増えた。
コンパクト型の出荷は国内で年間800万台、世界で1億台。一方、画質などでコンパクト型に満足しないユーザーが2割はいるとされ、コンパクト型とデジタル一眼(レフ)に二分された市場で一眼にシフトし、さらに女性をターゲットにする動きが際立ってきた。
カメラ大手が引っ張ってきたデジタル一眼市場では昨秋、パナソニックが「ルミックス G1」で参入。女性限定のカメラ教室など、多彩なキャンペーンを繰り広げている。
………………………………………………………………………………………………………
◆“女流一眼”「ルミックス G1」
◇軽量・小型・カラフル・高性能
◇ブログ公開など、生活変化に合致--パナソニック・デジタルAVCマーケティング本部商品企画グループDSCチーム、井上英紀さん
女性に特化したマーケティングで成功したのが、パナソニックのデジタル一眼カメラ「ルミックス G1」。一眼カメラの高機能を標準装備する一方、女性にフィットした軽量化・小型化を実現。デジタル一眼カメラ市場では後発のパナソニックが、G1で一気に存在感を高めたわけは? 同社デジタルAVCマーケティング本部の井上英紀さんに聞いた。
――「女流一眼、誕生」のテレビCM、拝見しています。
◆G1の発売は昨年10月末。同時に、樋口可南子さん起用のテレビCMのほか、ウェブ及び一般紙誌、女性誌、専門紙誌などでPRを展開中です。あるCM評価でも「好きなCM」「商品が魅力的だと思う」など、女性からすべての項目で見込んだ以上の高い評価をいただきました。おかげで、店頭でG1を手にとる女性が増えているように思います。
――女性にターゲットを絞った背景を。
◆年代に関係なく、女性の生活スタイル、マイホビーの変化を見据えました。入門機的なコンパクトカメラの高機能化に伴い、カメラを持ち歩き、気軽に写真を撮る女性が目立ってきた。画像をパソコンに取り込んだり、自身のブログにペットや自作料理の写真を公開する方も多くなった。こうしてクオリティーのより高い、表現力豊かな写真を撮りたい女性が増えてきたように思うのです。
――G1の特徴を。
◆まず、男性に比べて小さい女性の手に合わせたボディーの軽量化・小型化です。厚さ4・52センチ、高さ8・36センチ、幅12・4センチと、できる限り小さくし、本体の重さも385グラムと、このクラスでは世界最小・最軽量を実現しました。ここには、オリンパスさんと共同策定した新規格「マイクロフォーサーズ」の採用が関係しています。従来の一眼レフで不可欠だった、レンズからの光をファインダーに送るレフ(反射板)を不要とする規格で、レンズから撮像素子までの距離をほぼ半分にしてボディーを薄くすることができました。
――そのボディーもカラフルです。
◆デジタル一眼カメラには大きく重いという重厚なイメージがあった。それにとらわれず、黒が主流だったボディーに、女性にも使っていただけるよう、赤そして青のカラー展開を加えました。
――機能面では?
◆「手ぶれ補正」のほか、人物・動きなど5シーンの自動撮影設定▽ピントと明るさを合わせ続ける「追っかけフォーカス」▽撮影ポジションの自由度を高めたフリーアングル液晶▽ファインダーと液晶の双方で被写体が確認できる「Wライブビュー」▽暗部補正や逆光補正▽有効1210万画素の高画質▽電源オンの際、毎秒5万回の超音波振動でゴミを除去するノンダストシステム――など盛りだくさんです。プロにも満足してもらえる妥協しない高機能が「おまかせiA」で簡単に使え、きれいで奥行きのある写真が撮れるのです。
――ユーザーのアフターフォローは?
◆ウェブ上の当社ホームページで登録してもらう「ルミックスクラブ」を通じた告知や、東京、大阪でのG1のための女性カメラ教室など、多彩な活動を展開しています。教室ではG1をお貸ししますが、「帰りに買います!」という方が目立ち、月を追うごとにご自身のG1を持ち込む方が増えています。登録レシピ44万を誇る日本最大の料理サイト「クックパッド」とも連携し、料理教室でG1を体験していただいたユーザーの写真が多数掲載されました。
――今後の予定を。
◆当社にはテレビ、ビデオ、オーディオなどで培った層の厚いAV部門、パソコンなどの情報通信部門と常時、機動的に連携できる強みがあります。カメラは「一家に1台」から「一人に1台」の時代。今春、市場を先読みした商品開発と当社の総合力を結集させた、動画機能搭載のGシリーズ新モデルの発売も予定しています。さらに、ウェブ上の「女流一眼隊ブログ」で、女性の視点に立った「簡単使い方講座」なども紹介しています。
いつの時代も女性が流行を作り、女性が現場から起こすのではなかろうか?
だって財布のひもを握っているのは女性なのだから。
家庭教師 東京
Leave a Reply