数学の問題の質
まず一番勝負は、両大学の「数学の性質」についてです。
担当は、トップレベルサクセス数学主任N講師です。
(1)慶応医数学の特徴
「超難問奇問」・「計算が煩雑」・「理Ⅲと併願受験」・「数学ボーダー得点60%」…
これらは、市井の受験対策本・合格体験記などなどに書かれている「慶応医の数学キーワード」
です。
つまり、一般論。
これを完全否定するわけではないのですが、今回は、もっと“難しさ”を詳細に分析したいと思い
ます。
≪慶応医の数学の“難しさ”とは?≫
問題の難易度は年によってばらつきはありますが、近年はだいぶ落ち着いてきました。
当然、繁雑な計算は相変わらずですが、時間内の完全解答も不可能ではないレベルでしょう。
事実、東大理Ⅰ・Ⅱの合格者にとってみれば“慶応医=簡単な問題”と判断します(*理由は後述)
また、標準的な問題の年度であればあるほど、ハイスコアの争いとなり「差が付きやすい」ため、
十分な慶応医の対策が必要です。
では、上記の傾向になる理由について説明します。
(1)慶応医の数学は“空所補充”形式である。
空欄補充という形式の特徴から、きちんとした理解や記述力がなくても、
なんとか正解が埋められる問題が多いです。
ですから、たとえ難易度が高くても、正答率が高くなければいけません。
もっと具体的に説明します。空欄補充形式の特性上、大まかな方向性で突き進む・“いい”加減
に手を抜くことが可能です。
例えば、有名な慶応の繁雑な計算。
計算力は確かに必要ですが、ここでいう計算力というのは、式変形を短時間で正しく終える力という
よりは、むしろ、常にラクできる部分を探しながらうまく正解のみを導き出す力のことでしょう。
また、答えがあっさり出る問題や、長い式変形・大きな数字の通分のような、
あたかも“めげんなよ”いうメッセージが込められているような問題や、
その一方で、本当に触れてはいけないような計算が面倒な捨て問もあります。
これらを峻別する力も、要諦になってきます。
(2)私立医学部ならではの問題
もう少し慶応医対策らしい話をすると、まず、数学ⅠA~ⅢCまでまんべんなく出題されます。
とくに数A「集合」と数C「式と曲線」はあまり医学部以外では出題されませんので、ここもちゃん
と対策しておく必要があります。
出題内容的には、全く数学の王道をいっておらず(これは医学部が大学で数学を使わない
のでその基礎力を問う必要がないからでしょう)、重箱の隅をつつくようなものも多くでます。
難易度の高低差は、年度によっても、設問ごとによっても激しいです。
ラクなものはあっさりうまるし、計算が面倒な捨て問は本当に触れてはいけない問題が
たびたび出てきます。
あと医学部らしく、教科書範囲外の内容もでてきます。
例えば、極限積分や確率・行列の問題です。
これらは大学課程の数学を意識した色彩が強いです。
しかし、ご安心ください。これら問題も設問もわかりやすく、思考力も深い理解も証明する力も
いりません。
(3)合格得点率は?
「何点とれれば合格なのか」は、その年の難易度に左右されるので一概にはいえません。
ですから、先生に過去問を分析して判断してもらうべきです。
しかし、数学がかなり難しくて差がつかなかったときほどラッキーでしょう。
それで6割くらいとっておけば、数学では負けないでしょう。
但し、2001年度などの様に実質的に全問完答が求められる
の年もあるので要注意です。
≪東大理系の数学の難しさ≫
(1)東大の出題形式は記述式
「慶応医の逆」が、東大理系の特徴です。
まず、すべて記述式で、完答が難しい問題も多いです。
ですので、記述力を高めて、うまく部分点をとる力が試されています。
*ここ20年くらいですと、極端に難易度が下がった1995年を除けば、
東大理1・理2では、昔から2完2半というのが通説です。
また思考力、深い理解、証明する力が必要です。
150分の間に比較的ラクな問題を完答し、残りの難しい問題で部分点をとれば
理Ⅲでさえ合格者の平均点には達するでしょう。
ですので、慶応医の問題が平易に見えるのも必然です。
しかし、難しさの一番の要因は、一番は問題のわかりにくさ。つまり、とっかかりのなさです。
ⅠAかⅡBかⅢCか……どの単元なのかすら、分らないような問題もたまに出ます。
ゆっくり落ち着いて問題把握し、解けそうかどうかを正しく判断することが肝要です。
この特徴は、受験数学では東大、京大のみにみられます。
京大に至っては数学の問題でさえ数字が全く出てこず、出てくるのは文字式のみ、
場合分けと論証の問題なども少なくありません。
国内最難関大学の一つである東工大でさえ、とりあえずは計算力でごり押しできる
問題が多数存在することを考えると、この”2大巨頭”は別格です。
ですので、フォーカスゴールドや、大学への数学をやったとしても、そういった
思考力が高まっていなければあまり意味がありません。
思考の道具があっても、どの道具を使ったらいいのかがわかりにくくなっているからです。
なお、出題分野はⅠAからⅢCまでまんべんなく出ますが、たとえば確率漸化式などの頻出分野
も多いです。あと不等式の証明とか、整数論・空間図形など。東大の過去問を30年分くらい繰
り返し解くのがよいでしょう。